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KSTF2022

参加団体賞 推薦文

​​

各参加団体が、他の参加団体の全作品を鑑賞し、最も優れていると感じた自団体以外の作品を1団体推薦する。その推薦数が最も多い作品に与えられる。

コシピカ

推薦団体:劇団ゲスワーク

 

「45分という時間がとても濃密に感じられた。大人になってから高校生時代を回想する、というストーリーの中で高校生ならではの会話が繰り広げられる。高校時代から離れていればいるほどそのやり取りに自分を重ねる。まさにノスタルジーの演出。しかし今作はノスタルジーだけに頼っている作品ではない。主人公はあまりその学生時代を最大限満喫することはなかったようだ。それが大人になり後悔に繋がる。後悔と焦燥感が机や紙束を放り投げることにより演出される。その投げ飛ばされる机や紙達と照明のコンビネーションが非常に綺麗だった。途中途中、劇が終わるまでの文字数が伝えられる。このノスタルジーは制限時間があるということ、この舞台が終わることへの寂しさに拍車がかかる。まさに隙なしの舞台だった、と私は感じた。自分自身の舞台も含め、隙がない、という意味では全団体の中でも圧倒的だったと思う。ただ1つ欠点があるとすればどの団体もそうだが、演技に遊びがないところだと感じる。」

 

 

共通舞台

推薦団体:ダンディ談義

 

演劇における現実的な要素と非現実的な要素がバランスよく混じりあった演技に好感を持った。役者たちのそういった印象もあり、話自体はシンプルであるが、先の展開が読めた上で「この役者のそのシーンがみたい」と期待出来る作品に仕上がっていた。
全体的なクオリティとしては今は荒削りな部分もあるかもしれないが、明らかなのびしろが感じられ、今後の活動への期待というものをよりしてしまう団体であると思えたため、ダンディ談義を推薦する。

 

劇団 片羽蝶

推薦団体:劇団ゲスワーク

 

推薦団体名「劇団ゲスワーク」(革命前夜、その後)選考するにおいて、「抜けて素晴らしい」と思った作品が2つあったわけなのですが、その2つで非常に、非常に悩んだ結果、「ゲスワーク」さんを選ばせて頂きました。
この作品は個人的に「舞台として凄い美しい作品」でございまして。「何気ない教室」から「ゴミの山のように見えるけど、美しいもの。」(これが青春というものなのかも)に変わっていく。その過程、結果が舞台という場で非常に美しい形にされていました。
怒涛の演出が畳み掛ける中盤以降。僕は観てる時この辺りから一気に引き込まれたわけなのですが、その辺の照明の使い方も見事で、特に様々な色の照明の後に「真っ白な照明の中紙を全員で巻き上げる」所は鳥肌がたちました。
そしてその結果出来上がる、最後の舞台が本当に素晴らしかったです。「勉強机、椅子、紙。このシンプルなものからこんな美しいものが出来上がるんだ。」と、自分の中の舞台美術の可能性というか、新しい扉を開かれた気分になりました。
野外舞台特有の雰囲気もかなり良い味を出していました。夕暮れ辺りの少し明るい状態から始まり、印象的な過程を経て、暗い夜に終わる。実際の夕暮れから夜に移るような、短い時間ながらも印象的な時間。普通の劇場では味わえないものを引き出していました。
そして、ラストシーン。自分の観た回では、連絡をくれたメインヒロインの紙飛行機が唯一、主人公のすぐ近くを横切っていき。「エモさ」というものなのでしょうか。何とも言えない、良い感情を味わいました。

 

 

劇団洗濯氣

推薦団体:劇団 片羽蝶

 

私たち劇団洗濯氣は、参加団体賞に劇団片羽蝶を推薦します。特に演出において、電車を表現する照明、音響が目を引かれたためです。音に合わせて光を順に動かすことで電車が動いている様子を表現するなど、視覚的な印象づけが秀でていました。また、「きらきら星」の変奏曲に合わせて話が展開されていく形式は、聴覚と視覚の両方から観客に訴えかけることができ、より物語を印象づける演出がされていました。電球の大道具はよりピアノとそれに付随する物語を鮮明とさせ、物語に奥行きをもたせる効果がありました。役者の演技もそれぞれの役の個性が立っており、特に内面を叫びとともに吐露する場面は役の人生を感じさせました。以上の観点から、私たち劇団洗濯氣は劇団片羽蝶を推薦します。

 

 

ちゅ~ぺっと

推薦団体:劇団 片羽蝶

 

まず第一に、野外という場所をとても有効に使っていると感じた。やはり、電車の音や自然音は不自然に見えてしまう劇が多く「勿体ないな」と感じることが多かった。だが、片羽蝶さんの作品は野外という場所でしかできない舞台になっていたと強く感じた。また、電車のシーンでの照明はとても素晴らしかった。あの瞬間、横の線路に電車が走ったことが奇跡のような必然であり、舞台上での奇跡が起こっていた。
また、難しいテーマではあったと思うが役者一人一人が役を反芻して役作りを行っていたんだろうと感じさせる丁寧さがあったのも評価に繋がった。

 

劇団ゲスワーク

推薦団体:なし

 

劇団ゲスワークは、参加団体賞推薦団体を「なし」とした。理由は様々あるが、簡潔に言うなれば、「おもしろい」と思う団体がなかったからである。なぜ「おもしろい」と思わなかったのか、私たちの自戒の念も込めて、簡単に考察したいと思う。特に考えたのは、“その作品は「演劇」でなければならないか“ということである。その脚本は、アニメやドラマ、映画の方がおもしろくなるのではないか。その演出は、演劇において適切で効果的な演出と言えるのか。多くの団体において、その脚本・演出から、その作品が演劇であるべき、あるいは、そうでなければならない理由が汲み取れなかった。演劇だからこそ活きる脚本・演劇にしかできない演出によって、演劇の持ちうる感動や批判性が、観客に届けられているか。主にこの観点から考え、推薦団体を「なし」とした。

 

 

ダンディ談義

推薦団体:なし

 

今回は、全団体に1票にさせていただきました。
どの団体もそれぞれの色を出していて、甲乙のつけようがないと感じました。
学生演劇祭に初めて参加して、様々な劇団があり、様々な考え方がある、と視野を広げてくれた全団体に感謝と敬意を込めて、全団体に1票を投じたいと思います。

※推薦団体なしの場合、自団体以外の全団体に票が入ります。

 

京田辺、演劇ないん会

推薦団体:コシピカ

タイトルを見たとき、もっと重苦しい話なのかと思ったのですが、実際に観てみると笑いあり感動ありの作品で、そこまで重く感じすぎてしまうことはありませんでした。役者さんが二人で、場転なしにポツポツ喋っていくだけなのに、こちらの集中が切れることなく最後まで楽しく観劇させていただきました。ありがとうございました。もちろん役者さんの演技も素晴らしかったと思いますが、何より脚本が良いものであったように感じます。面白かったです…!本当にお疲れ様でした。

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