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2025/07/07 制作ワークショップ

 

 

7月7日、アートコミュニティスペースKAIKAにて、渡邉裕史さん(通称べってぃーさん)を講師に迎えた「制作ワークショップ」を開催しました。

祇園祭の気配が香る夏の四条烏丸。KAIKAはその一角に位置しています。ビルを上っていくと講師のべってぃーさんがお出迎えです。

まずはかんたんなゲームから。ぐるぐる歩きまわり、べってぃーさんが手を叩いたタイミングで近くにいた人とペアになってお話します。トークテーマとして「どうして演劇をやりたいのか?」が投げかけられました。

京都学生演劇祭に参加しているわけだから、当然みんな演劇をやっている、けれども改めて「どうして?」と問われるとなかなかすぐには言葉にできません。目の前のペア相手と一緒に悩みながら探ります。べってぃーさん曰く、自分がどうして演劇をやりたいのかを考えることが、制作の仕事においてとても大事なんだそうです。

 

ゲームを終えたところで、ワークショップの第一部が始まります。まずは、そもそも制作ってどんな仕事なのか?というレクチャー。企画、予算のこと、関係者との連絡調整、広報、当日運営...挙げられるものは多岐にわたりますが、共通するのは作品の”外側”をつくるということ。クリエーションの環境を整えつつ、アーティストの思いを汲み取り、時代に響きうる意味を見出し、それを観客に伝えるための言葉を探す。内/外と整理するクリアな視点が提示されます。

 

第二部は、芸術と社会について。制作は座組のなかで最もお客さんに近い存在であり、同時にアーティストの良き理解者でもある。だから、芸術と社会の接点をつくることができる。舞台芸術は社会に必要なのか?なぜお金を払ってまで観るのか?そして、どうして自分は演劇をやりたいのか?(冒頭で提示された問い...!)、こういった発想を突き詰めて考えることが、「つなぐ」「届ける」「翻訳者」たる制作の重要な営みです。

第三部、あらためて制作の心得について。制作には幅広い仕事があり、人によって得意不得意があります。全部できなくたっていい、完璧な制作は一人だっていない。自らの得意を把握しつつ協力しあうのが大切!実行委員会の仕事を日々悩みながら行っている私に、キュンと響く言葉です。

 

ここからは番外編で、ファシリテーションについてのレクチャー。べってぃーさんは、制作としてのお仕事のみならず、ワークショップのファシリテーターとしての経験も数多くお持ちです。ファシリテーションとはつまり場をつくること。組織にいるひとの能力によらず、その組織のシステムを整備することで、よりよい活動につなげられる。「チェックイン」の重要性や「発散と収束」のコツなど、実践的なお話がありました。なにより、今回のワークショップ中のべってぃーさんの態度そのものが(参加者の話を聞く姿勢だとか)示唆をふくんでいたように思います。

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最後には参加者との質問コーナー。実際に劇団で制作の仕事をしている人の具体的な悩み相談や、「自分が楽しくて演劇をしてきたがそれだけではいけないのだろうか?」という率直な問いまで、たくさんの話が展開されました(後者については、「なにを目指すのかによって、お客さんに対する言葉を考えてみてはどうか」というお話がありました)。

 

今年で15年目を迎える京都学生演劇祭は、たくさんの人に支えられながら、京都の時々の学生たちの手によって運営され継がれてきました。参加する団体を募り、上演する環境を整え、お客さんに届ける。実行委員会の仕事はまさしく、作品の”外側”をつくる制作そのものと言ってよい。それはとても充実した仕事であると同時に、至らないことや悩ましいことも数多くあります。

 

なかには慣れている人もいますが、一部の人だけでなく、集まっているひとりひとりが制作やファシリテーションの視点を共有することが大切なのではないか。ほかならぬ私たち実行委員がよりよい運営をめざしたいという思いから、今回べってぃーさんに制作ワークショップのご依頼をしました。

 

なかには、制作という言葉を初めて知ったという人もいました。制作ってなにしてるの?と聞かれていつも言葉に詰まっていたけど、説明できるようになった気がする、という人や、自分の得意な分野がわかったかも、という人もいました。今回のワークショップが、ほかの参加者にも気づきのあるものになっていたのなら、なによりです。

 

ちなみにですが、実行委員会の会議ではこの日以来、毎回「チェックイン」をしています、たとえば。

 

(執筆:熊澤洋介)

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