KSTF2021
地域・舞台美術ワークショップ
実行委員が主体となり、「地域・舞台美術ワークショップ」を開催しました。
全4回のワークショップ+舞台美術作業を振り返ります。
目的
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京都学生演劇祭が開催される地域について学ぶ
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プロから舞台美術のスキルを得る
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プロの演出家から制作の指導が受けられる
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どう文化芸術が地域へ還元できるかを知る
パフォーマンス
今後の活動の輪を広げるワークショップの最終的のアウトプット「パフォーマンス」
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学生だけでパフォーマンス製作
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テーマは自由、ただし地域の要素と作業で作った舞台美術を利用すること
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パフォーマンス場所はどこでも可
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時間制限もなし
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第4回のワークショップ時間内に製作し、発表する
※ ビデオにて記録する場合がございます。その時は再度映像使用の許可を取ります。
ゲスト
山口浩章さん
▽このしたやみ/演出家
▽1973年5月生まれ。
▽立命館大学在学中に学生劇団西一風で演劇をはじめる。 2011年、大阪大学大学院文学部文化表現論演劇学研究室で修士号を取得。
▽同年に利賀演劇人コンクールにおいて「紙風船」で優秀演劇人賞を受賞。
▽現在、左京西部いきいき市民活動センターのセンター長をつとめ、養正地域周辺のまちづくりに関わる。 ▽このしたやみ公式サイト:http://konoshitayami.sensyuuraku.com/profile.html
竹内良亮さん
▽1987年生まれ。三重県出身。
▽京都大学文学部在学中にロンドンへ留学、現地の舞台美術家のアシスタントを務める。
▽2012年より京都を拠点に活動している。
▽2018年 第45回伊藤熹朔賞新人賞受賞
▽2020年5月 京都舞台芸術協会理事
▽今年の京都学生演劇祭において野外特設舞台のデザインを担当
▽作品ギャラリー:https://ryosktake.wixsite.com/home
WS内容
第1回:竹内良亮さんによる舞台美術の講演
8月7日19:30-21:00 @オンライン
竹内良亮さんが京都学生演劇祭2021の野外特設舞台美術のテーマや作り方などについて話していただきます。
第2回:山口浩章さんと地域の方との交流
8月12日14:00-16:00 @左京西部高齢者ふれあいサロン
学生が地域の方との会話を通して、地域の歴史、文化、人々の暮らしについて理解します。
第3回:山口浩章さんと地域の方々とのアクティビティ
8月19日14:00-16:00 @左京西部高齢者ふれあいサロン(場所変更の可能性あり)
第2回の会話中に出てきた地域伝統の慣習を学生と高齢者が実際に体験してみます。
舞台美術作業:竹内良亮さんと共に実際にテントに仕込む舞台美術の一部分を製作
8月20日 後日参加者と調整
第4回:パフォーマンス製作
8月26日 14:00-16:30 @場所未定
第3回まで学んだ地域のことと舞台美術の表現の仕方を振り返り、山口浩章さんと竹内良亮さんにアドバイスをいただきながら、学生だけで、テーマに基づいたパフォーマンスを製作します。
※ 第2回と第3回の後には実行委員と一緒に振り返りする時間が15-30分ほど予定。演出家の山口さんと舞台美術家の竹内さんをゲストとして招き、表現方法を学びながら、地域の会話して理解することによって、文化芸術がどう社会自体に還元できるのかを学びます。
ワークショップ レポート
第1回:竹内良亮さんによる舞台美術の講演
8月7日19:30-21:00 @オンライン
8/7(土)に地域×舞台美術ワークショップの第一回目となる、竹内良亮さんによる舞台美術講演が開催されました。
今回の京都学生演劇祭の野外特設舞台美術のコンセプトについて話されてから、参加者と一緒に「舞台美術とは何か」「いい舞台美術とは何か」を討論しました。
そこで、舞台美術は役者が作っている世界を広げたり、強くする、または印象を強くする、などの様々な意見が出ましたが、竹内さん曰く、「舞台美術に定義はなく、ただ自分なりの答えを持っておくと制作時に軸を持つことが出来る」とのことでした。
そして、その後、2つのチームに分かれて、舞台美術の構想を実際にやってみました。テーマは「1人芝居の桃太郎の舞台美術」でしたが、両チームとも異なったきっかけからスタートすることによって、まったく違う舞台美術がイメージ出来てとても興味深かったです。
例えば、鬼を社会問題に見立てたり、鬼の役割や必要性について問いたチームに対し、観客の役割を考え、舞台上ではなく、無人島で観客参加型にするというチームもありました。
舞台美術は解釈や考えるきっかけによって様々な作品が出来上がると知ると同時に、舞台美術自身の役割から連想をすることでよりコンセプトが固まっていくと学びました。
最後に実行委員から今後の最終パフォーマンスに繋がるいくつかの質問を考える機会を共にして、第一回目は無事終了となりましたが、これから第4回の最終パフォーマンスに向かって参加者がどう成長していけるのかが楽しみです。
ワークショップ レポート
第2回:竹内良亮さんによる舞台美術の講演
8月12日14:00-16:00 @左京西部高齢者ふれあいサロン
8/12(木)に地域×舞台美術ワークショップの第二回目が左京西部高齢者ふれあいサロンにて行われました。
演劇祭の開催地となる養正田中地区の要素を取り入れたパフォーマンスを今後作っていくにあたってまず必要なことは、地域について知ること。演出家であり現在は左京西部いきいき市民活動センターのセンター長も務めておられる山口浩章さんから、地域を題材にした表現についてのお話を聞いた後、参加者全員でサロンに所蔵されている資料を思い思いに読み、地域の歴史や暮らし、現在までのあゆみを学ぶことから始まりました。
その後、得た情報をもとに街歩きを実施。会場となる「希望の広場」をはじめとして、地域にある建築物などを見て回りました。写真や文字を追うだけでなく、実際に自分の足で歩いてみることで、続いてきた歴史や今も暮らしている方々の息遣いを感じとることができ、散歩中でも参加者から多様な感想が上がりました。
最後に実行委員から振り返りのための質問タイム。見て感じたことを言葉にし、他の参加者の意見を聞くことでまた新しい気づきを得ることができたところで、今回も無事終了することができました。地域について感じたことをどうやったら舞台美術で表現することができるのか。試行錯誤は続きます。
ワークショップ レポート
第3回:山口浩章さんと地域の方々とのアクティビティ
8月19日14:00-16:00 @左京西部高齢者ふれあいサロン
8/19(木)に地域×舞台美術ワークショップの第三回目が左京西部高齢者ふれあいサロンにて行われました。
約1時間ほど地域の高齢者3名から今と昔の地域の様子について聞き取りし、前回の第2回で出てきた質問を直接お聞ききしました。「どんな食べ物が地域にはあるのか」といった日常の話から、「お盆とかではどのようなことをするのか」といった特定のイベントの習慣まで、色んな質問をすることで、歴史や文化に触れていきました。高齢者の方が場の雰囲気を盛り上げていただき、とても和やかな交流でした。
その後、ゲストの山口浩章さんと参加者で最終回に行われるパフォーマンスについて話し合いました。
それぞれが感想を語りあいながら、どういったポイントが表現できるのか、もしくは表現していきたいのかについて議論しました。内容だけでなく、舞台美術で何をどう表現していけるのかについても、第1回目のことを思い返しながら振り返ることが出来たと思います。
そして、いよいよ次回8/26(木)が最終回のパフォーマンス制作回となります。ここまで3回ワークショップを受講し、意見を磨いてきた参加者は一体どのような学びを得て、これから表現していくのか、是非楽しみにしていてください。
ワークショップ レポート
舞台美術作業:竹内良亮さんと共に実際にテントに仕込む舞台美術の一部分を製作
8/20(金)は舞台美術作業ワークショップが開催されました。
ゲストであり、今回の京都学生演劇祭の野外特設舞台デザインを担当いただいている竹内良亮さんと、会場に仕込む道具を塗装しました。雨の中で少人数での作業でしたが、進めていく中で、実際に作業中にしか出来ない舞台美術に関係する深い話をすることが出来ました。
例えば、演劇を作るのにあたって、考えるべきことは「なぜ演劇という手段を用いるのか」「劇中だけでなく、それ以外の場所も考える」「全ての表現に意味を考える」「誰に届けたいのか」「最初の直感を信じて変化を待つ」「舞台美術を作るのではなく、人間を作る」などがあり、舞台美術を作るということは単に製作するという作業だけではなく、作業過程による知識の貯蓄や常に意味を追い求めることの大切さを教えていただきました。
どれも今後参加者にとって、舞台美術だけに限らず、今後の製作に関係していたり、または演劇人になるための有難いヒントとなりました。