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KSTF2023

参加団体賞 推薦理由

<参加団体賞>

各参加団体が、他の参加団体の全作品を鑑賞し、最も優れていると感じた自団体以外の作品を1団体推薦する。その推薦数が最も多い作品に与えられる。

​※U30団体は推薦​対象団体に含まれません。


 

ヨルノサンポ団(U30)

推薦団体 青コン企画(仮) 

映画のオマージュに溢れた壮大な物語を、演劇的手法と俳優の可愛げ溢れた魅力によって観客との距離が近いまま進めていて、オリジナリティを感じました。

軽やかな空間の変え方や、遊び心溢れた舞台美術や小道具、音響のスタッフワークなど、魅力的な点はいくつもあったのですが、何よりも印象に残っているのは、俳優の3人が活き活きとその場に存在していたことです。次回公演があるのであれば、彼らを舞台上で観るためにまた劇場に足を運びたいなと思います。

 

ひゅーまんシアター

推薦団体 青コン企画(仮)

参加団体賞は、“自分たちには無いもの“という視点から青コン企画(仮)さんを推薦しました。

今回の京都学生演劇祭から参加させていただき、初めて学生演劇に直に触れる機会でした。まずE.T.という映像作品を舞台に昇華させていることに衝撃を受けました。そんなの絶対面白いじゃないかと、これこそ学生演劇としての自由なんじゃないかと、青コン企画(仮)さんの固定概念に囚われないところが魅力的だと思います。舞台でSFを表現することの難しさを感じさせない、軽やかな動きとセリフ運び、そして演出に心を奪われました。独特な浮遊感がすごかったです。

また、さりげなく散りばめられたユーモアがより観客の目を惹きつけており、ある意味で挑戦的な舞台だと感じました。自分たちには無い部分が詰まったこの作品は、このユニットが数年間積み重ねてきたことがそのまま出ているのだと思います。学生演劇のその先を考えざるを得ない舞台でした。

 

劇団フォークロア

推薦団体 青コン企画(仮)

全編を通して役者さんたちの表現の幅が広く、45分の間、見ていて飽きることがありませんでした。

役柄が固定されずころころと変わる演出に沿った豊かな表情や声で、全員が墓守りであり、E.T.であり、墓荒らしでもあることを即座に表現しており、その流動性が、演劇ならではの手法で興味深かったです。役者さんの個性が生かされた配役になっていると感じました。

また、衣装や小道具が場面によってがらりと意味や形を変える演出が面白く、視覚的にもわかりやすく、非常に効果的であると感じました。T字型の小物の使い方が特に練られており、然るべきところの然るべき道具に見えるような役者さんのマイムに驚かされました。声のボリュームや、言葉遊びがふんだんに使われているセリフを流れるように読み上げられている様子から、普段から積み上げられている皆さんの努力が垣間見えました。

素敵な舞台をありがとうございました。

青コン企画(仮)

推薦団体 らせんの目

青コン企画(仮)はらせんの目の『密度の実験』を推薦しました。

U-30団体を除いた学生団体の中では群を抜いてテキストと俳優がそこにあるべき、演じるべき必然性(運命?)を共有していたように感じました。

詩的な言葉のロマンティックと私的な言葉のセンチメンタルの混じり合いがメロディにのって、その場で物語が生まれたようなそんな印象を受けました。

また観劇後、私は物語における「筋」とは一体なんであるのか?を考えさせられることになりました。

昨今、多くの人が物語の面白さを筋に見出していることは言うまでもないでしょう。

しかし、少なくとも演劇には、私が浅知恵で捻り出す程度の物語の筋なんて不要なんじゃないか?

もっと言えば、舞台の上でドラマや言葉はどこまで行っても媒質でしかなくて、我々はそういうものに囚われすぎているんじゃないか?とそう思います。

時間をおいて固まった蝋の上にそっと火をつけられれたような気持ちです。

以上を推薦理由とさせていただきます。

後付け(U30)

推薦団体 らせんの目

ビードロ・ポンピイさんの語りが舞台以外の日常での事実を鮮烈に反映しており、そこから多くの人々の姿を見て取らさせて頂いたからです。

個人的な好みですが、日々人々が感じたり考えたりすることを極めて具体的なサンプルとして描写されている作品は良いなと思います。

(本作のようなおそらく本人が本人として舞台に立つような作品はその点が反映されやすいですが、芝居がかった非日常的な作品でも俳優の演技やテーマなどから日々の営みは漏れでてきて前述のような良い作品になりうると思います!)

『密度の実験』では、ビードロ・ポンピイさんが、自分が地球の住人にとってのお人形になっていると意識していることを前提に自分の個性や思考を作っているということを語っていましたが、

その立ち振る舞いや語りには真実味があり、本当に日々そのような視点で過ごしているのだろうという印象を強く受けました。

一人の俳優による具体的な提示から、程度の差はあれど舞台に立っていない数多くの住人にもそういう側面はあり、そんな地球の一部として今舞台に立たれているということを改めて確認させられるようでした。

「個別具体的なことから一般的ななにかを想像させる」というのが演劇の危険でいて魅力的な力だと思いますが、まさにそのような力を強く発揮されていたと思うので参加団体賞に推薦しました。

演劇ユニット日光浴

推薦団体 青コン企画(仮)

Bブロックは2ステ目を現地(客席最後列)で拝見しました。青コン企画(仮)さん、観ていてとても面白くて笑って楽しかったです。どの団体も大好きなんですけど、参加団体賞として青コン企画(仮)さんを推薦した理由は、演出として「この舞台を使ってできること」を全部やったんじゃないかと思ったからです。舞台の平台を分解して砂利を穴の底に見立てて、後ろの幕を開けて、単管からぶら下げて新聞が飛んできて。あと、それらの発想を実現できる実力が伴っているのがすごい。めちゃくちゃ格好良いです。フルメンバー、観たい。(にしかわふうか)

らせんの目

推薦団体 ひゅーまんシアター

一人称語りで展開されていた舞台で物語に没入させる演出の効果が印象的でした。

会話劇のため、主に俳優のテキスト(役)に対する向き合い方を軸に観劇しました。全体の中でそれぞれの役が持つキャラクター性と具体性がバランスよく構成されていて「家族」という一つの集団の関係が意味やイメージをのせて浮き上がり、魅力的に表現されていました。

発話するリズムや強弱のつけ方など、全体で目的意識を共有した上で丁寧に読解され演技として形にしていく姿勢が見えました。

劇団FAX(U30)

推薦団体 らせんの目

パフォーマンスというものは個人的にはあんまり好みではないのだけれども、なんとなくそこに可能性を感じたという事で、一票入れさせていただきました。

私はただひたすらに物語を紡いできました。言葉と言葉の意味をつないで一つの大きな流れを作ってきました。そして、きっとこれからもそうしていくだろうと思います。

そんな中、最近、言葉ってものに少し懐疑的になってきているというか、言葉というか言葉によって行われる、いわゆる論理的思考体系と言われるものが鬱陶しく思ってきていて、そこからの脱却を図らなければならないと思っていたところでした。

そんな時にこの作品は、なんだか自分でもよく分からないけどドンピシャな感じがしたというか、言葉が音である事を再認識させてくれた作品でした。

そんなこんなで、音として発せられた言葉がテントの中に響き、隣を走る叡山電車の音と響き合い、その先に何か見えるような気がしました。

※劇団透明少女は未提出のため掲載していません。

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